2011年6月18日土曜日

8月23日 ムイナクへ、船の墓場

PCのデータ整理してたらスタン紀行が発掘された。
もうだいぶ時間が経ってしまったけど(2008年の旅行だし)、せっかく人に読んでもらうために書いた文章なので、ぼちぼちコピペします。
でも写真貼るのがズレたりなんだりで結構めんどうなので、文のみで。あしからず。

823日 ムイナクへ、船の墓場

7時起床。ホテルで朝食。日本人の若夫婦と少し話す。彼らは仕事を辞め、世界一周を目標に旅をしているらしい。日本を出て一年経った今でも、アジアから出られないらしい。

8時にホテルをチェックアウト(15ドル)、タクシー(4000 cym)でバス乗り場へ。

850分頃、ムイナク行きのバス(3500 cym)が発車する。こちらのバスは日本と同じ大きなバス。満席で、荷物を抱えながら座るとかなり窮屈。でも窓からのそよ風が気持ちいい。隣席のウズベキスタン人グループと仲良くなる。

12時半、ムイナク到着。しかし何も無いバス停だ。タクシーも来なさそうだ。

どうしよう、と困っていると、先ほど仲良くなったバスの同乗者がホテルアイベックまで乗せて行ってくれた。しっかり運賃は取られたが。

ホテルで少し休み、韓国人らしいホテルの主人に道を訊いて、『船の墓場』へ出かける。

この船の墓場、私は来るまで知らなかったが、最近メディアでも取り上げられた有名なところらしい。

ソ連の灌漑事業の弊害と地球温暖化があいまって、砂漠化が進むアラル海。かつて漁村として活気のあったムイナクも、今ではすっかり寂れてしまった。アラル海が干上がって海岸線が100 kmも遠のき、置き去りにされた漁船が無残な姿を晒している。なんともやるせない風景。「地球の歩き方」に載ってる写真では辛うじてステップの草木が船の周囲に繁っていたが、今ではもう完全な砂漠。サラサラの砂。遠く地平線を眺めやると、徐々に青緑色になっているが、これはアラル海の水ではなくて草原の海。早晩あそこも砂漠になるんだろう。

村唯一と思われる小さな食料品店で、ガス入り水を 6 5800 cym)買い込む。あまりの渇きと暑さに正常な判断力を失って、アホみたいに買ってしまったのだが、これがあとでとても役に立った。

15時ごろホテルに帰り昼寝。砂漠の炎天下はキツイ。一番人間が活動してはいけない時間に、活動してしまったのだ。せめてもの体力温存。ただこのホテルクーラーはもちろん扇風機も無いので、寝苦しいことこの上なし。

19時頃ホテルで夕食を取る。生野菜は避けるようにしていたが、余りの野菜不足に耐え切れず、N氏(医者)の「おれのクラビットやるから、食え」のお言葉に甘えて、もりもりサラダを食べる。やっぱ野菜うまいな。

20時頃、陽が翳ってきたので再び船の墓場を散策。

このぐらいの時間帯に現地の人は活動するらしく、子どもたちも遊んでいた。

彼らは見慣れない日本人に興味津々で、しきりにまとわりついてきた。アイベルクくんとシトーくん、あと二人いたが忘れてしまった。彼らと、墓場の船の上によじ登るなどして遊んだ。とても楽しかった。

21時頃ホテルに戻る。このホテルアイベックは当然ムイナク唯一のホテル。最近観光客に注目されているとはいえ、こんな寂れた砂漠の村にホテルがあること自体驚きなのだが、これがなかなか迫力ある佇まいなのだ。

特に閉口したのがトイレ。汚い。臭い。かつては水洗だったようなのだが、今は動かないらしく、便器のそばに水を溜めた樽と手桶がある。それが触れただけでもコレラになりそうな汚水なのだ。そこに手桶が半ば浸かってぷかぷか浮いているのだ。触れるかー!!!たぶん船の墓場らへんで野糞でもしたほうがよっぽど衛生的。どんな下痢便でも次の日になればたちどころに乾燥・滅菌されるだろう。

トイレの隣にシャワースペースもあるのだが、そこも水が出ないらしい。まあ出たとしてもどんな汚水かわかったもんじゃないし、こんな臭いところで浴びる気にもならんが。

と、旅仲間が随分さっぱりした様子で外から戻ってきた。曰く、「ホテルの前の廃墟で水浴びてきた。」とな。え、このガス入りミネラルウォーターを?

「スパークリングシャワーっすか!!!」

「いや、意外とスパークリングしなかった。」

確かに今日は汗びっちょりで、是非ともシャワーを浴びたい。

でも廃墟で?うら若い乙女が?生肌晒して水浴び?アブねえじゃねーか。

「……行ってきます。」

「おお、いってら。」

「なんかあったら大声出します。」

「ハイハイ。」

てなわけで、洗顔フォーム、バスタオル、そして1 ℓのミネラルウォーターを引っさげ、廃墟へ。

一部ずつ脱いだり着たりしながら水浴び。でも気持ちよかった。乾燥してるからすぐ乾いちゃうしね。

布団に入り就寝するも、暑くて寝苦しくて何度も起きてしまう。その度に、パジャマやベッドが濡れるのも厭わず、頭からミネラルウォーターをかぶる。どうせ一時間もしないうちに乾いちゃうからね。6 ℓ買っておいてよかった。

今日の支出:30ドル

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