2013年6月3日月曜日

6/3とくダネ 、お母さんの役割

児童が一人で留守番している家に電気の点検?か何かを装って部屋に押し入り、児童に狼藉をはたらく男についての報道。 
朝支度をしながらの視聴だったので正確ではないかもしれないが、だいたいそんな内容だった気がする。 
で最後に小倉さんが、「お子さんには、知らない人が来たら『今は親がいないから家に上げられません』と言うよう、お母さんが指導してあげて下さい」と締めた。 

またお母さんか。 
何でお母さんなんだ。 
何で敢えてお母さんだけに啓発するんだ。 
「ご両親」とか「親御さん」とか「保護者の方」とかいろいろ言葉はあるだろうに。 

これに限らず、とくダネは本当にこの手のことが多い。最近では通学・帰宅時における子どもを標的とした犯罪増加に際しての注意喚起とか、風疹や子宮頸癌の予防接種の啓発とか、何かにつけ「お母さんが気をつけてあげて下さい」と言う。 

いや、単にそう思っているだけなんだろう。本当に「子どもを守るのは母親の仕事」と思っているんだろう。 
そういう無意識に刷り込まれた価値観を変えていかないと少子化は止まらない。 

産むのは女性、という圧倒的な性の不均衡が存在する。これはどうしようもない。 
しかし妊娠出産が女性のキャリア、収入、人生に対する大きなデメリットとなってしまうのは社会の責任だと思う。男女とも子どもを作る気にならないのも当たり前。妊娠出産がデメリットとならないような社会を作らない限り、少子化は止められない。 

あまつさえ産んだ後「子どものお迎えのために定時で上がるのはお母さん」「子どもが熱を出したら仕事を休むのはお母さん」と社会に要求され、それ故社会に「だから女には重要な仕事は任せられない」と足を引っ張られるのだから、産みたくても産めないのは当然だ。とくダネの「犯罪に対する注意喚起を子どもに行うのはお母さん」「予防接種等の知識をつけ、子どもに受けさせるのはお母さん」というのも、この価値観に根ざしたもの。 
産むのは女だが育てるのは両親だっつの。 

法律等を整えることで少子化を止めるのがお上の仕事なら、人の価値観を変えることで少子化を止めるのがメディアの役目だと思う。 
小倉さんやその他の報道を仕事としている人の中に、「子育ては女の仕事」という偏見が存在するのは仕方がない。年代もあるだろうし、自分を形作る価値観をそう簡単には変えられないだろう。飲み屋で「結局少子化は女のせいだよな!」なんてクダをまくのは、彼とて単なるおっさんなのだから許してやろう。 

だからこそ、仕事のときくらいちゃんと意識して、子どもの健やかな成長に対する責任は父母同等である、ということを視聴者にお伝えすべき。 
自分と同じ下衆な爺に対して「だよな、子どもが犯罪に遭うのは母親の注意不足でもあるよな!」なんて自信を持たせないように。 
若い父親が自分でも意識しないうちに「予防接種については妻がしっかりやっといてくれるだろうから俺は調べなくていい」「防犯ブザーが必要なら妻が持たせるだろうから俺は考えなくていい」と思わせないように。 

とりあえず「お母さんが」を「保護者の方が」と言い換えることから始めてみようよ。そんくらいできるでしょ。
VPS