2009年7月5日日曜日

Angels & Demons


毎度ながら、おもくそネタバレで行きますので、まだ観てない方、DVDを待つ方、ごめんなさい、お帰りください。
真犯人など書いてあるので、読まないでください。すみません。
 
また、Google 検索などに引っかかりにくいようになるべく指示語を使って感想を書いていくので、読みにくいことこの上ないですが、ご了承ください。

では始めます。
 
 
 
 
 
 
言ってしまえば単なるサスペンス映画。
殺人予告があり、その殺人を止めるべく、そして犯人を捕まえるべく、トム・ハンクスが犯人の出すメッセージを読み解いて駆け回る。
けれども舞台がいい。前作「ダ・ヴィンチ・コード」はフィレンツェ、今回はヴァティカンとローマだったが、どちらも映画見ながらイタリア観光しているような気分にさせられた。
そこにローマ・カトリック、コンクラーベ、ベルニーニの作品、秘密結社イルミナティ、CERN、反物質など数々のキーワードが巧みに織り込まれており、
またローマ・ヴァティカンの壮麗な建築物、美術作品、それらの映像があまりに美しく、同時に不気味な雰囲気を醸しだしていて、惹き込まれずにはいられなかった。
 
つまりおもしろかった。すごくおもしろかった。
 
おもしろかったが、よくわからなかった。
まず、人の顔がわからない。ヒロインが最初にヴァティカンで出てきたとき、それがCERNの女研究者であることに気づくのに10秒くらいかかった。
ヒロインでこれなのだから、他のバイプレイヤーは推して知るべしである。しかもそれが物語に深く関わるキャラクターだと困ってしまう。
最終的にローマ教皇に選出された人が誰だったのか気づいたのもエンドロールが始まってからである。この調子では物語に貼られた伏線を全ては感知できない。
 
なので、いくつか矛盾点を感じた部分があるのだが、これが本当に矛盾しているのか、それとも私がわかっていないだけなのか、わからない。

以下、疑問に思う点を挙げる。答えを知ってる人はコメントしてくれるとうれしい。
 
今回も前作同様、真犯人は意外な人物だった。そして真犯人が判明するまで別の人を犯人っぽく描き、大どんでん返しを狙っていた。
それはいい。よくある手法だ。しかしそういう表現をとる場合、その犯人っぽい人の犯人っぽい行動に対する説明が必要だと思うんだ。私は。

例えば窃盗事件の映画があったとして、登場人物Aが何かカバンにしまいこむような怪しい動作をしたとする。しかも印象深いシーンとして。
そうすることで観客はAが犯人だと思い込む。しかし真犯人は登場人物Bだった。
その場合観客が気になるのは「じゃあAはいったい何をカバンにしまっていたのか。何故周りに見られないようにこそこそしていたのか。」ということである。
観客の目を真犯人以外の人に誘導するのであれば、その種明かしも見せるのがルールだと思うんだ。私は。

その種明かしが足りなかった気がするんだよね。『天使と悪魔』は。私が見落としてただけかもしれないけど。

たとえばスイス人の護衛の偉い人。彼は何故日記を隠したのか。なぜ4つ目の殺人の直前にトム・ハンクスをヴァティカンに戻そうとしたのか。
あと枢機卿の偉い人。彼は何がしたかったんだ?なんでテロの危険があるのに、コンクラーベを強行したんだ?自分が教皇になりたい、という下心自体は持っていたのか?それとも伝統を遵守することに固執していただけ?わからん。
もし、「自分は拉致とは関係ないけど、有力候補がいないうちにコンクラーベをやって自分が教皇になろう」という魂胆なら、最後の柔和な表情や穏やかなセリフの説明がつかんしなぁ。
暗殺者が何者なのかもわからんかったなぁ。単に金で動く殺し屋?それとも彼なりに宗教的信念があったのか?暗殺者と黒幕の関係は?「俺は宗教関係の人からよくこういう仕事を頼まれる」って言ってたけどさ。
そこらへん「ダ・ヴィンチ・コード」の方がわかりやすかった気がする。アルビノの青年の存在がね。
 
そして一番わからんのが真犯人の動機。
教皇暗殺の動機が護衛の発言どおりだとしても、教皇候補の枢機卿を殺す、ヴァティカンを爆破する、というこの映画の主軸である事件の動機がわからん。
爆破する意味もわからないが、爆破をやめた意味もわからない。
しかもそれが何でイルミナティ?単なる目くらまし?その辺も「ダ・ヴィンチ・コード」の方が秘密結社や聖なる血筋と事件の関係がわかりやすかった気がする。
しかも何で反物質?普通の時限爆弾でよくね?日記の件で、犯人が反物質へのある種の思い入れを持ったのはわかるけどさ。なんでCERNからわざわざ持ってきたんだろう。犯人が「イルミナティ」に傾倒しているなら「科学の最先端を使ってキリスト教をぶっ潰すぜ☆」ってことなのかもしれんけど、結局イルミナティ関係ないしね。
 
あとトム・ハンクスがムダに死人を増やしてないか、もう一回確認したい。
その人が死んでしまったのは致し方ないことなのか?それともトムが余計なことしなきゃ助かったのか?
火の人とかさ。何もしなけりゃせいぜい一酸化炭素中毒ですんだだろうし、応援が間に合えば蘇生したかもしれないじゃん?でもトムが鎖を外して逃げたせいで焼死じゃん。
まあでもしかたなかったのかな。うーん。
司祭を助けに踏み込んだのもさ。あのシーンは早くて誰が何を言ってるのかようわからんけど、死ななくていい人の死にトムが関わっていないかどうか確認したい。
水の人はまあ結局あんな感じだったけどさ。風、火、を踏まえたら、やっぱ救急隊員連れてった方がいいって。あらかじめ119しとくとかさ。不審車両のナンバーくらい覚えて、報告するとかさ。
そこらへんちょっとぐずぐずしてたのが気になるんだけど。

それから、ヒロインの存在感がいまいち薄かった気がするなー。トムにくっついてあちこち行ったり、彼女なりに行動してたけどさ。別に爆発物を処理したわけでもなし、事件に大して貢献してなくね?
『ダ・ヴィンチ・コード』のヒロインがよかったから、かえって欲求不満。

それで、タイトルの『天使と悪魔』ってどういう意味だろう。真犯人が、ということ?それとも真犯人も含めて我々は皆善と悪を持っている、という使い古されたオチ?
腑に落ちん。

というわけでもう一回観よう。DVDとかで。

たなばた

もうすぐたなばたですね。
 
近所のイトーヨーカドーに、周辺の幼稚園に通う子どもたちの短冊が飾られていました。
 
 
今どきの子どもの欲望を拝見。 
 
 
 
 
そのうち、私が秀逸だと思った短冊を紹介します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

『しあわせを もたらす どらごんに なりたい』
 
 
 
 
 
 
これはすごい。
 
数ある短冊の中で一番すごいかもしれない。 
君には最優秀作品賞をあげよう。
 
女の子だったら「プリキュアになりたい」
男の子だったら「ウルトラマンになりたい」「シンケンジャーになりたい」

が大勢を占める中、これはそれらと一線を画して、抜きん出ている。

自分が幸せになるんじゃなくて、他人に幸せをあげたい、だからね。素晴らしい。
しかも「もたらす」って、園児にしては難しい単語を使うではないか。親や先生に書いてもらったんじゃなくて、明らかに自筆だからね。

そしてどらごん。はしっこにどらごんらしきイラストもあるが。もう何も言うまい。言えば言うほど、この短冊のすごさから遠のいていくから。 
 
『シンケンブルーの ゆうのすけみたいな せいぎのみかたに なって、
しんかんせんの うんてんしさんに なりたい』
 
 
 
 
 
 
ただの運転士ではない。
正義の味方の運転士である。

新幹線の運転士とは世を忍ぶ仮の姿、しかしてその正体は正義の味方シンケンブルー!!!
 
一見正義の味方と運転士と両方なりたいというのは欲張りな気もするが、正義の味方になりたいという夢を持ちつつ運転士という現実に即した希望も出しておく、というのはなかなか賢いかもしれない。
 
  
『やくざいしさんに なりたい』
 
 
 
 
 
しぶい。
いや、もちろん素晴らしいお仕事だよ。
私の友人にも何人か薬剤師さんがいるし。
知的な専門職で社会になくてはならない職業だ。
 
しかし、「薬剤師」を知ってる幼稚園児がいるとは。
私は小学校高学年くらいまで、世の中に薬のプロが存在していることを知らなかったよ。
すごいな、この子。親が薬剤師さんなのかな。
 
 
 
 
『あそんでる おともだちの こころが わかる 
やさしい おにいお
おにいさんに なりたい』
 
 
 
 
 
これは泣ける。
なんていい子なんだ。
 
「おにいさん」と書こうとして何度もどもってるあたり、彼の真剣さがにじみ出ている。
 
その心をいつまでも持ち続けてほしいものだ。
 
 
 
 
一応短冊に書かれた名前のところは見えないようにしてあるんだが、こういうのも勝手にネットにのっけちゃいかんのかな。もし不適切だと思う方がいらっしゃいましたら、その旨コメントください。
VPS