2013年2月27日水曜日

ディズニー談

先週のテレビ導入に伴い、週末はTSUTAYAデビューしてきた! 
借りたのはディズニーアニメ2本。 
私はわりとディズニーアニメが好きだ。往年の名作も良いし、新作も出るたびに母に映画館へ連れて行ってもらった。 
とはいえいくつか取りこぼしもあって、今回借りたDVDはそれ。 

以下ネタバレ自重しない。 



1. ヘラクレス 

映画館では見られなかったのだが、完全な初見でもない。 
10数年前?に地元の縁日の映画会で観た事がある。 
が、ガキがうるせーのなんの。スクリーンに自分の影が映るので立ったり座ったり大はしゃぎ。その年の縁日では何故かう○こ型のバルーンがはやっていて、ガキどもがそれを掲げて劇場内……というか公民館の一室なんだけど……を走り回るんで、スクリーンの下半分は右に左に動き回るう○こで埋め尽くされていたよ。 
というわけで、面白そうなのに全然楽しめなかったからいつかちゃんと観たいと思っていたんだ。 

で、結構面白かった。 
想像よりノリが軽くて、シリアスというよりコメディって感じだった。 
いやサブキャラがふざけてるのはいつものことなんだけど、「ヘラクレス」の場合ラスボスがボケまくってたのが印象的。 
ギリシャ神話よく知らないけど、ハデスってあんな悪い奴だっけ?なんかもっとこう生真面目で、若干ヤンデレ属性があるものの紳士的なイメージだったんだけどな。 
いやディズニーアニメに対してこの種の解釈にケチを付けるのは野暮なんだけどさ。死の神=悪って単純さがいかにもアメリカ的だなぁと思って。 

ただ「ヘラクレス」のすごいところはヒロインが姫じゃないところだね。 
清く美しく聡明で強かなのが昨今のディズニーヒロインの流行りだと思うんだけど、メグはそうじゃない。他のヒロインが常に冷静に正しく物事を見据えていたのに対して、メグは誘惑するわ嘘つくわ弱みに付け込まれるわ、汚くて愚かな女なんだ。「ディズニープリンセス」のシリーズにヘラクレスのヒロインがいないのも当然だ。だがそこがいい。 
彼女の人間としてのリアルさにすごく惹かれるし、そんな汚れきった彼女がヘラクレスと出会う事によって前進して行く過程が感動的だった。あと映画のヒットにおいてヒロインの人気は重要な要素なのに、敢えて愚かで普通の女をヒロインに据えた制作スタッフに感心した。 

それから「契約」とか「言葉」に重きを置いていて、言葉で交わされた契約はいかな神の力を持ってしても覆ることはないという前提が私の中二心をくすぐった。 

物語のクライマックスであるところの、オリンポス襲撃と反撃はまあ想像通りというか、いかにもディズニーアニメらしい予定調和的な感じだった。 

けど私が一番ハラハラして一番感動したのはヘラクレスの最後の闘い、死の川に流れるメグの魂の確保。 
青年ヘラクレスが死の川に入った瞬間、どんどん老いさらばえていく。この画が「夢と魔法」のディズニーアニメと思えないくらいグロくて残酷。ムキムキだった腕が細くしわしわになり、残された神の力である「怪力」も奪われ、ただの爺がヘロヘロになりながら愛する女性の魂を追って泳ぎ続けるんだよ。これは泣いたわ。 
神は不老。怪力は神だったことの証。これを踏まえると余計ヨボヨボになっていくヘラクレスの描写がえぐい。オリンポス争奪戦より余程激しい戦いだわ。 

で、結局メグの蘇生に成功し、一皮むけたヘラクレスは神にクラスチェンジし、ハデスは滅び、八方丸く収まるんだけどさ。 
ヘラクレスは神の世界を捨てて人としてメグと一緒にいることを選ぶんだよね。ありがちとはいえ、ここでも泣いた。 
人間界に自分の居場所はなくて、神の世界こそ自分の帰るべき場所だと信じて、だから呪いを解くために今までずっと頑張ってきてさ。 
でも最後の最後に自分の居場所はここだからと言ってメグやメグのいる人間界を選ぶんだよ。不老よりも、怪力よりも、実の両親のいる世界よりも、愛する人のいる場所が彼にとっての居場所なんだよ。 

「この社会に自分の居場所はない」と腐ってた少年が、大人になって、人を知り愛を知り、地に足をつけるまでを描いた、すごくスタンダードな成長物語だと思う。 



2. アトランティス 

ネットではあまり評判が良くないし、「ナディア」のパクリなんて言われたりしている。 
が、「古代に滅びた超科学文明」「海底の知られざる都市国家」が私の中二心をくすぐるので、すごく興味があった。 

観た結果。 
要するに「アバター」だった。 
別にナディアに似ているところもなかった。 
ディズニーの別作品、「ターザン」だの「ポカホンタス」だので既にさんざんやり尽くされているような、 
「原住民を侵略する文明人を、文明人側にいる主人公らが原住民と手を組んで追い出す」 
という話だった。 
どうしてこう、アメリカ人は異文明交感系のファンタジーを略奪と反撃の物語にしかできないんだろうか。 
テンポの悪さとか物語の運びのチープさがまさにアバター。 
舞台が古代文明である必要は全く無い。「古代に滅びた超科学文明」「海底の知られざる都市国家」ってあたり「ラピュタ」を彷彿とさせるけど(あっちは空中都市だけど)、どうしてああいうロマン溢れる世界観を作れないのか。いくらでも料理しようのある設定なのに、もったいない。 

アメリカ人が自分たちの侵略の歴史を反省できるようになったのは結構だが、「奪うのはアメリカ人、守るのもアメリカ人」て辺りまだ奴らの奢りを感じる。原住民はアメリカ人の意のままに奪われたり守られたりするだけ。 

超巨大潜水艦とかアトランティスの全景とか、それはそれは美しく、中二心を掻き立てられたけれども、それだけ。そういうところもアバターにそっくり。

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