2013年2月1日金曜日

橋下市長のツイートから思うところ2

橋下市長のこのツイートで、私の小学校5, 6年時の学級担任を思い出した。 

その学級担任I先生は児童に対して日常的に体罰を行い、一部の女子児童にはセクハラまがいの行為を繰り返す、本当にマンガに出てくるような糞教師で、6年生の11月くらい?に保護者の熱心な働きかけによって担任を辞めさせられた。 
都教委も巻き込んで大騒ぎになって、当時ワイドショーやら新聞やらに取り上げられたほど、センセーショナルな出来事だった。 

でも私はI先生に辞めて欲しくなかったんだよね。 

それには積極的な理由と消極的な理由があって、積極的な方は単純に先生が好きだったから。
消極的な方は、今まで暴力による恐怖政治で押さえつけられた学級が、突然その圧力を失ったらどういうことになるかわかりきっていたから。 
躾の悪いクソガキどもが、これ幸いに猿のように暴れ出す。 
成績優秀・無口・でもたまに学級会とかで空気の読めない発言をする、生まれた頃からいじめられっ子気質の私が、攻撃されないわけがない。 
まあ猿がどんなに噛み付こうとどうでもいいっちゃいいんだけど、それでも神経は擦り減る。中学受験を前に余計なストレスを溜めたくない。 

で、実際その通りになった。 
I先生が辞めた時期も時期だったので新しい担任をあてがうこともできず、結局卒業まで教頭が担任を兼任したんだよね。 
でも教頭は忙しいので教室にいない時間の方が多かった。授業は手の空いている先生が入れ替わり立ち替わり担当した。そんな状態じゃ、これだけ特殊な事情を抱えている学級の手綱を握るなんてムリだよ。 
小学校最後の思い出となるスキー合宿で、いじめっ子グループの部屋に一人放り込まれた私の恐怖がわかるかい?実際よくやったよ自分。あれを耐えたんだから、世の中の大概の理不尽には耐えられそうな気がするよ。 

大学で教職課程を取った学生の自主ゼミに参加していたのだが、そのゼミに「当時の新聞の切り抜き」と「5年生の正月にI先生からもらった年賀状」を持っていったことがあった。 

新聞に書かれるI教師像は、まさに今の桜宮高校バスケ部顧問。教師というよりむしろ人間の風上にもおけない暴漢(30代)。 
でも年賀状は8 pt くらいの豆粒みたいな文字でびっしり埋め尽くされていて、リアル金八先生かと言いたくなるほど愛と熱血に満ち満ちた文章だったんだよね。年賀状はどっかにいってしまったので何が書いてあったのかよく覚えてないけど、熱いだけじゃなくてある面では冷静というか、未来ある子どもに対する大人としての助言というか、うまく言えないけどなんか感動的な内容だったんだよ。 

で、ゼミ仲間は「この記事の教師がこの年賀状を書いたとはとても思えない」と言ってくれた。うん、そう言って欲しくて持っていったんだけれども。 

バスケ部の暴行教師も同じじゃないかな。橋下市長が言うように暴行教師自身もきっと子どもの頃「愛のある指導」を受けてきたんだろう。そして自分も、自分が信ずるところの「愛のある指導」をしたに過ぎない。 
さらに生徒の多くは自分の厳しい指導からきちっと「愛」を見いだし、実力を伸ばしていく。顧問と生徒が共に苦しい試練を乗り越え、見事全国優勝したときの感動たるや。生徒達と抱き合い、涙を流して勝利を喜ぶ。生徒達が「先生ありがとう!」と言い、「俺は何もしてへん。お前達が頑張ったんや。」と生徒達を労う。 
この感動も何もかも、「愛のある指導」の賜物。「愛のある指導」なくして教育は成り立たない。 
体罰はあかん。せやけどこれは体罰やあらへん。「愛のある指導」なんや。橋下市長はなんもわかっとらん。 



だからこそ、橋下市長の言うように、学校を抜本的に変えなきゃいけないんだよ。 
暴力教師がただのクズなら、小倉さんの言うように彼一人を処分すれば良い。 
でも彼はクズであると同時に、誰よりも生徒のことを想ってる素晴らしい先生なんだと思う。
記事に描かれるI先生と年賀状からにじみ出るI先生が全く違うように。 
だから生徒が自殺してもなお、「暴力教師」・「それを容認する学校」・「その中で培われた教育システム」に賛同する生徒・保護者が多いんじゃないかな。 

だからこそ根深い。だからこそ教師だけでなく、生徒・保護者の考え方を変えなきゃいけない。 
そうしなきゃ、生徒の自殺が「先生の愛情を理解できない根性無しが勝手に死んだ。まあ気の毒だとは思うけど、うちらには関係ないし、先生達には今まで通りびしばし鍛えて欲しい。」で終わってしまう。そしてまた同じ悲劇が繰り返される。 

う〜ん、長々書いたけど、全然うまく言えないなー。まとめると、 

1. クズ教師であり、生徒思いの先生でもある。これは矛盾しない。人間を悪人と善人に分類できないのと同じこと。 
2. 「橋下は何もわかってない」「私たちの夢を壊さないで」と喚く視野の狭い生徒・保護者は、きっとI先生に辞めて欲しくなかった私と同じなんだと思う。そしてそれこそが、入試を止めてまで学校を変えなきゃいけない理由だと思う。

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