2012年11月26日月曜日

11/13 とくダネの感想、男性不妊


とくダネが不妊治療について三日間の特集を組んでおり、三日目のこの日は男性不妊をテーマとしていた。
やっと!やっととくダネが「男性にも不妊症があるらしい」と気付いたよ!よかったよかった。テレビの力は偉大なので、これからも定期的に取り上げて「不妊症=女の病気」という偏見を払拭していただきたい。

何組かの男性不妊カップルのルポを見るに、「妻を検査しても異常は見当たらず、何年間も不妊治療を行うが一向にうまく行かず、もしやということで夫の精子を調べたら原因はこちらだった」というケースが多そうだ。

なんで妻しか不妊の検査をしなかったんだろうね。夫婦同時に検査すれば良かったじゃん。不妊治療……というか妊娠出産において、数年のタイムロスは大きい。初めから「夫が原因」とわかっていれば授かる可能性も高かっただろうに、夫婦共にアラフォーの今になって原因がわかっても時既に遅し。は言い過ぎかもしれないが、若い頃に比べて圧倒的に授かりにくい。

カップルのどちらに不妊の原因があるかを示したパイチャートでは、正しい数字は覚えてないけれども男:女:両方=1:2:1くらいだった。あと原因不明が何割か。
これを見て「意外と男にも不妊症がいるもんだな」「でもやっぱり女が男の倍なのか」と思う人がいるかもしれない。でも番組内で挙げられたカップルのように「不妊=女が原因」と思い込んでいるせいで検査すらしていない不妊男性がまだまだ大勢いるんじゃないかな。男:女=1:2というのは「自分に原因があると自覚している男性は女性の半分」とも言える。

近年男性不妊患者が増加しているらしい。これも生活習慣の変化、環境ホルモンの影響などが原因の可能性もあるが、番組内のカップルのようにきちっと検査をする男性が増えてきただけのことかもしれない。
昔は「三年子なきは去れ」なんて婚家を追い出された女性が、再婚したらあっさり授かったなんて話もよくあったそうだしね。

特集のまとめの段に入り、「少子化の原因は?」の問いに対して、とくダネ常連の医療ジャーナリストの伊藤氏が「女性の社会進出が原因の一つ」と述べていた。この人自身は割と冷静で客観的な発言をするし、主張が飛躍することもあまり無い。「女性の社会進出が原因の一つ」というのもある立場からすれば正しいと思う。

が、心配なのはこれを見た愚かな視聴者が何を思うかということ。
少子化の原因は女性の社会進出、女の分際で仕事をしたいなんてワガママを言うから日本がやばい、やはり男は男らしく女は女らしくすることがあるべき姿であり、日本再生のために取るべき唯一の道である。

女性の社会進出を禁止することで少子化が止まるならそうすりゃいいけどさ。そうなると男性が妻子を養わなければならないけど、大丈夫?できる?
というか、「少数の裕福な男性のみが結婚し子を持つことができる」ってことになるよね。カップル数は激減するし子どもが増えるとは到底思えないんだが。

女性にも男性と同様仕事をする自由があるべき、という議論は大事だが、ここでは割愛しよう。
とにかく現代日本では、妊娠適齢期の若者には金がない。女性が働かずにすむ世の中ならいいけど、現実は甘くない。女性の社会進出は個人のワガママではなく、社会から強制されている。
で、男女問わず、妊娠出産育児は経済的にデメリットが大きい。支出が増すだけでなく収入が減る。それも一時のことではなく生涯にわたって。
妊娠適齢期の20代って気兼ねなく妊娠できる?普通は仕事が一番大変な時だし、この時期の頑張りが後々の出世や収入アップに繋がるわけで、妊娠なんかしている場合じゃないと思うんだが。男女問わず。
いくら出産手当だの子ども手当だのその場限りの現金を頂戴したって、「子どもがいなければ稼げたはずの額」を思えばなかなか産もうとは思えないよね。
で、30代も半ばを過ぎてやっと少々の見通しがついた、さて子どもを、という頃には男女問わず生殖機能が衰えて妊娠しにくくなっている。ある種の先天性疾患のリスクも上がる。

これって女のワガママのせい?でも男性も若い頃に子どもを持つことを積極的に忌避しているよね。確かに妊娠出産の身体的負担は女性にしか無いけれども、家計を同じくするカップルなら子どもをもつことによる経済的負担は同じ。子どもは否が応でも仕事の手枷足枷となるので、出世街道から外れるリスクも高まるし。それじゃあ子どもを持つ気にも、誰かと家計を同じくする気にもなれんわな。

うんだから、この特集で問題となっていた「初産を迎えるカップルの高齢化」は、結局若い時代に子どもが産めない社会の在り方に原因があると思うわけ。若者に「卵子の劣化がヤバいよ!男性不妊もヤバいよ!」と啓発したところで少子化は止められない。だって産めないものは産めないんだもの。

少子化を止めるには金がない若者が子どもを産める社会に変えていくしか無い。
例えば大学生の結婚妊娠出産を奨励する。
子持ちでも就職に不利にならないようにする。
新入社員のくせに結婚妊娠出産して職場に迷惑かけるヤツを白い目で見ない。
やれ産休だ育休だ子どもが風邪引いただでちょいちょい消えるヤツでも、それを理由に出世や給料で同僚と差をつけない。

要するに個人の考え方を変えないと少子化は止まらないと思うんだよね。
「親になるべきは経済的にある程度安定し、そこそこ将来の見通しも立つ大人のみ。金もないのに後先考えず繁殖するのはだらしがない、みっともない。」という常識を根本的に変えなきゃいけない。
だって「経済的にある程度安定し、そこそこ将来の見通しも立つ20代」は現代日本にはほとんどいないもの。
むしろ金はなくても時間はある学生時代に子どもを持って、育児で一番時間を拘束される時期を学生としてやり過ごし、子どもが保育所に預けられるくらいの歳になったタイミングで就職する方が賢い。

公的な支援もさ、産む時だけお金くれてもしょうがないんだよね。まあそれで助かる人もいるから無意味とは言わないけど、産んだら終わりじゃないんだからさ。一人一人にはした金を撒くんじゃなくて、そのお金を産婦人科や保育所の整備に回した方が少子化は止まるんじゃなかろうか。
少子化少子化と言ったって、その少ない妊婦や子どもですらあぶれている現状のわけだから。そりゃ子どもは増えないよね。

0 件のコメント:

VPS