2009年8月13日木曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ネタバレバレでとりとめなく感想書きます。

の前に、前作『序』の感想から。この間研究所の学生で『序』のDVDを鑑賞したので、そのときのmixi日記から貼ります。
------
でもやっぱなー、第一話からヤシマ作戦まではテレビアニメのがいいなぁ。序はかいつまんで詰め込みすぎ。場面転換とかセリフのやり取りとか、はい次!はい次!って感じで全然感情移入できない。
テレビのを映画に焼き直すってんなら、テレビを知らない人でも楽しめるように、上映時間内に納まるように整理整頓しないとなぁ。
そのくせ個人的には切られたくないシーンが切られててがっかり。最初のさ、降る瓦礫から初号機がシンジ君を守るシーンとかさ。あれ切っちゃいかんと思うんだよね。あれがシンジ君の乗る動機に繋がるわけだし、後々ユイさんとの伏線にもなるわけでさ。そこを切って、「苦しむレイを慮って」という理由で乗ることにしたけどさ。ちょっと弱いよな。

私はテレビ版の時からエヴァが好きだったしその設定とか世界観に興奮するけど、テレビは話が進むにつれてどんどん行き当たりばったりになって、設定が破綻していって、矛盾だらけになって、残念だったんだよね。
あとはもともと子どもが見る時間帯のアニメだったこともあって、対象年齢がぶれてる感じが嫌だった。

そこらへんが新劇場版では洗練されるのかと思ったんだけど、序を見る限りあんまり期待できない。

でもラミエルがよかった。テレビ放映の10年後、アニメの技術はこんなに進歩しましたよ~って感じ。地道にドリルで掘削してたのが、なんかにゅるっとしたやつになってたり。コアを貫かれて「キャーッ」って言うところに萌え。ラミエルたんかわいいよ、ラミエルたん。

さんざん序の文句を言っといてなんだけど、破には興味あるな。あれはもうテレビの焼き直しじゃないようだし。同じキャラを使った別の話として楽しめそう。
------
というわけで観てきました。

なにより映像がすごい。音響がすごい。これは映画館で観る価値あったわー。
それにテレビ版や『序』に比べてストーリーがよくまとまってるし、見ていて痛快!爽快!
前宣伝通り、テレビ版とはまったく違うストーリーなんだけども、それでも重要なシーンを切り貼りしたりまとめたりすることで、エヴァの大事なところを失わずにうま~く作られてた。
いや~面白かった。

一番印象に残ったのは綾波レイの成長。テレビ版でもちょっとずつ前に進んではいたけれど、『序』のヤシマ作戦をきっかけにした彼女の成長がすごくわかりやすく描かれていた。
生まれたばかりの自我が幼くて健気できゅーんとしてしまった。シンジ君を「好き」なんだけど、恋愛にきちんと分化した感情じゃなくて、ただただ慕ってる感じがせつない。
母鳥に必死でついていくカルガモの雛のようにせつない。
サプライズのお食事会を企画して、招待状をNERVのメンバーに配って、この子はなんて積極的になったんだろう……お母さんは嬉しいよ……と思ってしまう。
テレビ版とそれに続く旧劇場版ではようやっとシンジ君への執着が芽生えたくらいで彼女の成長は終わってしまったけど、今回はシンジ君以外の人とも積極的に関わって、他人の立場で考えられるようになってて、感動した。
リツコに頼んでアスカに「ありがとう」と言うところとか。「あなたにはエヴァに乗らない幸せがある」とか。マリと一緒に使徒と戦うところとか。
そうやってレイが成長してしまったからか知らないけど、テレビ版ではアスカと二分してたヒロインの地位を今回は独占してしまったような印象。
テレビ版のアスカは性的な意味でのヒロインで、レイはストーリーの重要な鍵という意味でのヒロイン、という風に住み分けしてたと思うんだけど、今回はその両方を兼ねていたように思う。このあとどうやってオチがつくのか気になる。
テレビ版の3歩進んで2歩戻る、という彼女の成長もすごくよかったし、だからこそ「3人目」になるところとかがすごく悲しくてせつなかった。ので、テレビ版と破の「綾波レイ」、どちらがいいとは言えない。でも映画の時間内にまとめることを考えると、今回の綾波のキャラクターはよくできてたなぁ、と思う。

で、そんなレイにすっかりヒロインの座を持っていかれた式波アスカ。
惣流から式波に苗字が変わったのは、テレビ版のアスカとは違うからなのか、はたまた女の子の苗字を「波」で統一したかっただけなのか知らんけど。
でも私は今回のアスカも好きだなぁ。シンジ君に対峙するヒロインではなくなってしまったけれど、ストーリーの中での存在感はすごく重かった。
天上天下唯我独尊、みたいな性格は健在だったけど、シンジやレイだけでなく、ヒカリちゃんなど周りの人にもつんけんしてたのが印象的。
そんな彼女が三人で協力して使徒を倒したり、シンジとの共同生活やレイとのやりとりを通して心を開いていく様がわかりやすくて、でもわざとらしくなくて、とてもすがすがしかった。
レイの食事会にバッティングしてしまったエヴァの試用実験を、アスカが替わることでレイを応援してあげるところが、その後の展開もあいまってせつない。
テレビ版の、トウジのエヴァや使徒を食うシーンを、ああいう形でまとめたのはなるほどなぁ、と思った。
ヒロインの地位を明け渡してあんな悲惨な目にあったアスカ。アスカファンへのせめてものサービスなのか、えろいショットが多かったのが気になる。
ありゃーパンチラどころかパンモロだね。エヴァの試運転のときも、なんでプラグスーツまで変える必要があったのさ。あんなあられもない格好で、あんなことになって、かわいそうに。

そして新キャラ真希波マリ。古参キャラにどう絡んでいくのか楽しみだったけど、今回は出てきただけっていう印象。だいたい映画の中でフルネーム呼ばれたか?
でも『破』のオープニングは彼女の独壇場だったし、惜しげもなく伏線貼りまくってたので、次回が楽しみ。絵も声もかわいいし、性格もレイやアスカと一線を画してるし、さばさばしててよかった。
凍結された2号機に乗って、アスカですら知らなかった裏コードを使いこなしてるところも不思議とイヤミじゃなかった。
あとで一緒に行った友人が「だってアスカが裏コード知ってたら危なくてしょうがないじゃん」と言ってて、なんか納得いった。

今回気づいたのは、どうも新劇場版では「ユイ」の存在が薄いらしい、ということ。
『序』でエヴァ初号機がシンジ君を守るシーンがカットされてて不満だったんだけれども、今回のエヴァ覚醒のシーンもあんまりユイが絡んでなかったような?

テレビ版のときは好きな女性キャラは?と訊かれたらレイでもアスカでもミサトでもなく、迷わずユイ!と答えてたんだけど、旧劇場版で、実はユイが一番エゴイストだったことがわかって幻滅したんだよね。
その意味で今回のユイの薄さは興味深い。

それから前回同様、使徒がよかった。ああいう形状はどうやって思いつくんだろうなぁ。チームで案を出し合うのかな。テレビ版以後のロボットアニメがどうしてもエヴァの影響を受けてしまうのと同じように、今回の使徒も今後のアニメの典型になるんだろうなぁ。

今回の「一ヒロイン一歌」はちょっとどうかと思った。マリの鼻歌やアスカのシーンはよかったけど、レイの「翼をください」までいくとなぁ。ちょっとしつこく感じた。林原めぐみ、高音が苦しそうだし。
まあ、あれがいい、という人も多いんだろうけど。私はもっと他にぴったりのBGMがあったと思うんだけどな。

『破』の終わり方は、テレビアニメで言えば最終回の二つ前という感じで、かなり盛り上がりつつ解決を先送りにしてた。
何年先になるかわからんけど、完結編が楽しみ。

0 件のコメント:

VPS