2011年5月28日土曜日

入院の思い出

病院内のSUBWAYで隣に点滴をつけた患者さんが座っていた。

500 ccくらいのタンクが吊るしてあり、タンクの下部には透明で円柱形のジョイントがついていて、そこからさらに長いチューブが繋がっており、患者さんの腕へと続いている。

そのジョイント部ではタンクの薬液?がポタッポタッと滴下していて、チューブに薬液が送られている様子が見える。

そのポタッポタッを見ていたら、ふと自分が入院したときのことを思い出した。

特に大きな病気も怪我もなく比較的健やかな人生を送っている私だが、3歳くらいのときに1度だけ肺炎で入院したことがある。

入院するほど酷い症状だったのだろうとは思うが、体が辛かった記憶はほとんど無い。ただただ退屈だったことが印象深い。親に尋ねると入院期間は2週間程度だったそうだが、今思い返してみても1ヶ月くらいは病みついてたんじゃないかというくらい時間が長く感じられた。この歳になると何もしないでぼーっとすることは最高の贅沢なのだが、3歳児では覚醒状態でベッドに縛り付けられることは拷問に近い。むろん飛んだり跳ねたりはできないし、絶対安静と決められた時間はお絵描きや折り紙も出来なかった。夕飯までひたすら横になっていなければならない。

そんなとき、私は自分の点滴のジョイント部で薬液が滴下する様子を観察していた。といってもSUBWAY の患者さんのようにポタッポタッとリズミカルに落ちるわけではない。一滴あたり数分はかかっていたと思う。ゆーっくり、ゆーっくり雫が成長していく。もうすぐ落ちそう、というところまで雫が成長してもなかなか落ちない。それをもどかしい気持ちで見つめる。やっとその雫がジョイント上部から離れ、チューブ側に落ちたときにはちょっと嬉しくなったものだが、また雫形成から始まるのにうんざりして、それでもずっと眺めていた。

元医者の相方にその話をしたら、「点滴の薬液を流すスピードはジョイント部のコック?で調節できる。SUBWAYの患者の場合短時間で流し切るタイプだったのだろうし、君のは1日中点滴をつけながら長時間かけて薬液を入れていたので滴下のスピードはゆっくりだったのだろう。」と言われた。

もう一つ点滴関係で思い出深い話。

時々看護師さんが注射器片手に病室を巡回することがあって、私ら姉妹の病室(私に肺炎をうつされた妹は気管支炎になってしまい、姉妹まとめて二人部屋に入院していた)に来た時、妹が怖がって泣き出した。すると看護師さんは「○○(妹)ちゃんじゃないよ、点滴へのお注射なのよ。」と言って、実際注射器を使って点滴に何かした後去っていった。

相方によると、長時間点滴をしていると針の中が詰まる恐れがあるので、ときどき注射器でチュッと液体を入れることで詰まりを予防しているらしい。

これらの会話で私が感動したのは、「あの現象や作業にはそういう意味があったのか」という24年間の疑問が氷解したのもさることながら、3歳児の記憶力がかなりアテになるという事実が判明したことが大きい。

3歳の頃の記憶ともなると夢と現実がごっちゃになってて、本当に自分の身に起こったことなのかいまいち自信が無いんだよね。でもそういうとりとめも無い記憶が肺炎で入院した幼児に対する治療となんら矛盾していないことがわかって、それがすごく驚きだった。

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