2010年5月10日月曜日

天狗の絵

さっき突然思い出した小学校の頃の思い出。

3年生くらいだったかな。図工の課題で「物語の絵を描こう」というものがあった。
最初に先生が物語を朗読し、そしてその物語のラストシーンだか印象に残ったシーンだかを絵の具とクレパスで描く。

お題となった物語はあんまり覚えてないけど「天狗の昼寝中に泥棒が天狗の団扇を盗み、その妖力で雲の上に乗ったり好き勝手したが、結局団扇を取り 返されて天狗に雲から落とされる」とかそんな感じだった。
それで天狗が団扇を取り返して泥棒が雲から落ちるというクライマックスシーンを描くということになった。

このお題は図工の教科書にも載っていて、小学生が描いた絵も何枚か掲載されていたが、その絵の全てが全く同じ構図だった。
左側に高下駄履いた巨大な天狗が腰を大きく曲げて立ちふさがり、右側には落下する泥棒がちっちゃく描かれている。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

で、それに倣って、クラスメイトが描く絵もだいたいそんな感じだった。

みんなが左側にばかでかくてパワフルな天狗を描き始める中、私はなぜか愚かで哀れな泥棒を丁寧に丁寧に描いたんだな。
着物の合わせ目とか皺とか、落っこちる格好とか、結構頑張って描いたと思うんだな。

そして周囲が概ね天狗を描き終え、あとは泥棒を描いて仕上げという頃、私は致命的なミスに気がついた。
泥棒に一生懸命になるあまり大きく描きすぎてしまい、相対的に天狗の巨大感を出すことが難しくなってしまった!
で、私は天狗の全身を描くのを諦めて、泥棒の横にでっかい天狗の顔を描くことで妥協したんだ。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
描きあがってみると意外と納得のできばえ。意気揚々と先生に見せに行くと、隣にいた友達が
「あ、それいいなぁ。私もそういう風に描けばよかったなぁ。」
と褒めてくれた。が、それに対する先生の返答。
「ダメ。描いちゃったものはしょうがないけど。」

がーん。

いや、この先生はいい先生だったし、実際はそこまで辛辣な言葉ではなかったと思うけど。
少なくとも「期待外れ」というオーラはむんむん出てて、それが少女の私の繊細なハートを傷つけた。
なんか天狗が手抜きすぎ、みたいなことも言われた気がする。まあ確かに。しかし授業時間中に完成させねばならないとあって泥棒にあれだけ熱を入れ たんだから、天狗が多少おざなりでも仕方ないではないか。
でもそれなりに天狗も頑張ったよ。ただ泥棒をクローズアップしたら天狗がフレームアウトしただけで。

まあ要するに、先生は一般的な「左側に巨大な天狗、右側にはちっちゃい泥棒」という構図をご所望だったんだな。
残念!私は答えを間違えてしまった。

「個性を殺す」だの「画一的」だの今さら批判しないから、少なくともあの構図が模範解答なら描く前に教えてくれたらよかったのに。

2 件のコメント:

石井 さんのコメント...

この日記

ぐっときた。

aqualerius さんのコメント...

それはうれしい。

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