2013年5月7日火曜日

人生設計考えて…妊娠いつする? 10代から「女性手帳」導入へ

ニュース本文はこれ。 
http://news.livedoor.com/article/detail/7648769/ 

まず、「女性手帳」なるものを10代女性に配布する、このこと自体は悪くないと思う。コスト相応の成果が得られるかはわからないが、女性が若いうちから婦人科に関心を持ち、子宮頸がん予防ワクチンや、子宮がん検診や乳がん検診の大切さを知っておくのは良いと思う。性病や望まない妊娠への危機意識を高めるのも重要なことだ。その中に卵子の老化と妊娠適齢期に関する知識、ライフプランに結婚妊娠を組み込んで考えることの大切さを説く内容が入っているのも賛同できる。 

が、気に食わない。「医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し「晩婚・晩産」に歯止めをかける狙い」ってとこが気に食わない。 

1. 
こんなもんが少子化の歯止めになると思っているってことは、晩婚晩産化は「卵子の老化に関する知識がなく、後先考えずに仕事を頑張ってきたものの、気づけば30代半ばで後悔している愚かな女ども」が原因って設定なんだろうね。もちろん一部には「卵子が老化するって知っていればもっと早くに妊娠したのに……」という女性もいるだろうから、全く意味がないとは思わない。でもね、人生設計を真剣に考えれば考えるほど「子どもを産むタイミングは存在しない」ってことに気づかされるわけよ。 
学生時代は産めないでしょ?就職してすぐ産休取るなんて白い目どころの騒ぎじゃないでしょ?かといって経験積んだらある程度重要なポジションについてしまうでしょ?そこでの頑張りが生涯収入を左右するなら、子ども産んでる場合じゃないでしょ?そんで気づいたら30半ば。 
妊婦や産婦に現金を渡すのもいいだろう。産休育休の制度を徹底するのもいいだろう。でも結局産んだことが生涯収入を大幅に引き下げるから「産めない」ってことになるわけよ。キャリアアップしたい女性だけの問題じゃなくて、ガチで「産んだら生活できない」ってカップルもいっぱいいる。一時的に現金をもらっても、子どもが成人するまでの養育費、親の介護、自分の老後を考えたら焼け石に水。男女関係なく、安定した収入を引退するまで得られる見込みがないんじゃ、とてもとても子どもなんて産めない。 

で、どうしたらいいかと言うと、結局一人一人の意識を変えなきゃいけないと思うんだよね。産休育休があっても、「子持ち女性社員は使えない」って本音がある限り、仕事を頑張りたい女性は子を持つリスクを回避する。学生結婚やら新入社員が一年目で産休やら、そういうものを「めでたいめでたい」って言いながら受け入れられるような、そういう意識が社会の偉い人たち……おっさんおばさんに根付けば少子化に歯止めがかかるんじゃないだろうか。 

つまり「女性手帳」は10代の少女だけではなく、おっさんおばさんにも配るべきなんだな。 
ってかこんな微妙なものに金をかけるより、産婦人科や保育施設などを整えた方が少子化ストップには効果的だと思うんだけど。 
まあ制度を整えるのは大変だけど、冊子を配るのは楽だからな。 

2. 
百歩譲って社会的原因には目をつぶろう。しかし老化するのは卵子だけじゃない。精子も老化する。以前も日記に書いたけどさ。それに加齢によって衰えるのは卵子精子だけじゃない。子宮の妊娠維持機能や造精機能、その他諸々妊娠出産に関わる様々な部分が加齢と共に衰える。だから体ができた成人なら、妊娠出産は若いに越したことは無いわけよ。男女共に。当たり前だけど。 

なんかしたり顔で「卵子は産まれた頃から数が決まっているから老化する一方。ところが精子は毎日新しく作られるから老化しない。」とか言ってるバカがいるけどさ。毎日作られるからなんだ?毎日作られる皮膚は乾燥して皺ができたりしていないかい?毎日作られる髪は徐々に薄く細くなっていないかい?なんで毎日作られる精子が、精巣だけが、「若い頃と変わらない」と信仰できるんだ。老化のメカニズムが違うだけで、卵子も精子も等しく老化するんだよ。 

女性の年齢が上がるほど、生殖医療の成功率は下がる。これは確かだ。 
男性の年齢が上がるほど、生殖医療の成功率が下がる。これも確かだ。 
なんで後者の知見はメディアでほとんど周知されないのか不思議。 

男性の方が高齢でも生殖可能ではあるかもしれない。60や70の爺さんが孕ませた話もたまに聞く。でもそれは「高齢でも妊娠は不可能ではない」という程度。ヨボヨボの爺さんが出した薄くて運動性も低くて奇形精子が多い劣化精液の中から、たまたま、本当にたまたま「受精可能な精子」が卵子に辿り着いただけ。不可能ではないからって打率まで維持してると思うなよ。それに、信憑性のあるデータはあまりないけど、男性の年齢と産児の先天性疾患発症率に相関がないとは言えない。女性の年齢とダウン症リスクの相関はよく言われるけど、男性に関しても同じことが言えるかもしれない。 
いずれにせよ、「妊娠出産適齢期」は男にもある。 
ってか、それは本当に爺の子どもなのか?(笑) 

だから女性手帳で高齢出産の注意喚起をするなら、男性手帳も配って男性における妊娠出産適齢期と高齢出産のリスクを周知すべきだと思うんだ。「女と違って男は爺になっても孕ませられる。だから少子化の原因は女。」なんて馬鹿な男が減れば、少子化にも歯止めがかかるんじゃないだろうか。 

3. 
百歩譲って男性の老化には目をつぶろう。少子化の原因が女性の社会進出に伴う晩婚晩産化のみであるとしよう。 
でもその注意喚起を女性だけにしても意味ないよね?結婚は一人じゃできない。妊娠も一人じゃできない。ツイッターにも書いたけど、仮に女性手帳によって女性が結婚妊娠のタイムリミットについて真剣に考えるようになったところで、 
「最近彼女が結婚結婚ってうるさいんだよね。もうちょっと独身でいたいし、仕事もこれからってときなのに。まあ女ってのは結婚願望高いもんだからしょうがないんだけどさ。こうもうるさく言われるんじゃ結婚生活も思いやられるよ。別れようかな。いや、俺もいつかは結婚して子どもも欲しいけどね。」 
ってなるのがオチだ。 
男性が結婚妊娠を現実的に考えないと状況は変わらないわけよ。 

いつかは子ども欲しいけど今じゃない。 
妊娠出産は女の仕事、俺は関係ない。 

そうやってモラトリアムを延ばし延ばしにしている男がどの口で「少子化の原因は女の社会進出」なんて言う? 
やっぱり女性手帳配るなら男性手帳も配るべきだよ。うだうだしているうちに自分も彼女も35歳を超え、やっと結婚して数年頑張ってみたものの子どもに恵まれず、不妊治療を始めたがアラフォーのカップルでは成功率も低く、結局「いつか子どもを」の夢は叶わない。そういう可哀想な男性を作らないためにも、10代の少年に男性手帳(笑)を配るべき。 
女性だけでなく男性にも、ライフプランに結婚妊娠を組み込んで考えることの大切さを説くべき。

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