2013年11月29日金曜日

劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語 1

3回観た。ネタバレバレで感想書く。未視聴の方は注意。

まずは作品の総括。

TVシリーズの焼き直しであるところの「[前編] 始まりの物語」「[後編] 永遠の物語」の続編で、完全オリジナルの「[新編]叛逆の物語」。
前作までの感想はTV編も合わせて超長文の感想を書いた。

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編1

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編2

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編3-1:曲など

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編3-2:マミ・さやか

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編3-3:杏子

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編3-4:ほむら

劇場版魔法少女まどか☆マギカ総集編 前後編3-5:まどか

で、上記文章の締めに、

>ところで、どんな願いでも叶うなら、「全ての魔女を生まれる前に消し去りつつ、私という個体を保ってこのまま人生をエンジョイしたい。」にすればよかったんじゃ?

と書いたんだが、叛逆の物語のオチはまさにそういうことだったね。
ほむらが円環の理からまどかの個体を引き剥がした。
限界まで濁ったSGを抹消するシステムはそのままに、「まどか」が存在する世界として宇宙が書き換えられた。
結果、まどかは家族や友人のもとに帰ってこられてハッピー、ほむらもまどかを救えてハッピー、円環システムは残っているから魔法少女は魔女にならずにハッピー、これまで通り世界の歪みや負の感情は魔獣が引き受け、それらを処分したい人類とエネルギーを回収したいQBの利害一致でハッピーハッピー。

前作の、「魔法少女が魔女にならない世界になってめでたしめでたし、ただしまどかの自己犠牲を除いて。」というオチが、今作ではその自己犠牲すら無いことになったのだから、大団円ではないか。

なのになんであんなにバッドでダークな感じなんだw

前作の感想にも書いたけれど、まどかが神になることで、ほむらがどれだけまどかのために頑張ってきたかがまどかに伝わったんだよね。そこでやっとほむらが報われ、同時にまどかが消えてしまったわけだ。

今回ほむらがまどかを引き戻したことで、前回やっと伝わったほむらの思いも全部無かったことになってしまった。人間を辞めてSGになった彼女だけれども、そのSGさえGSですらない何かに変質してしまい、円環の理による救済も受けられず、前回のまどかとは別の意味でこの世のものではない存在になってしまった。「悪魔とでも呼ぶしかないわね♡」ってテンション↑↑だったけど、結局まどかという人間が被った犠牲を丸ごと肩代わりしただけなんだな。

そう思えばほむらは可哀想だし、あの据わりの悪いハッピーエンドにも一応納得が行く。でもな、「たとえまどかに忘れられようと、自分の存在がどんなものになろうと、まどかを救う」という確固たる意志で行動し、首尾よく望む結果が得られたのだから良いではないか。もっと割り切ろうぜ。相変わらずほむらは繊細だなぁ。

さやかもなんであんなに怒るんだろうね。まどかを現世に引き戻した立役者であるほむらに感謝しこそすれ、罵倒するのはいかがなものか。まあさやかは単純だから、苦悶の表情を浮かべて引き裂かれるまどかを見てほむらを悪者認定したのかもしれないし、さやかはさやかでありながら円環システムの一部でもあったわけだから、そのシステムを破損させた存在は彼女にとっては悪なんだろうな。

世界改変は、破格のポテンシャルを秘めたまどかがQBの力を使って初めて成し得たのであって、魔法少女としては凡庸なほむらがQBとは無関係に世界を変えたってのはどうも腑に落ちない、と一度目の鑑賞では思ったのだけど。
でもほむらは別に大したことはしてないんだよね。円環の理に触れただけ。世界改変とほむら悪魔化は、まどか実体化の帳尻合わせに過ぎない。
で、円環の理に触れられるのはほむらだけなんだよね。秀でた魔法少女ではないが、まどかを知っている魔法少女は彼女だけ。円環システムを根底から覆すことはできないけれど、ほむらのまどかへの愛をもってすれば、まどか本体を円環システムから抉り取るくらいは可能だったと。
ただ、まどかはちょっと気を抜くとまた神化してしまいそうになるし、それを止めるにはほむらが一人で頑張る以外ないわけだから、非常に脆弱で不安定な世界なんだな。

あとほむらはQBを奴隷化する、みたいなことを言ってたけども、結局あれは魔獣という負の存在を処分したい人間と、エネルギー回収をしたいQBとの相利共生関係を継続するってことだよね。QBとしては「人間の感情は確かに魅力的なエネルギー源だが、制御不能すぎて無理。」と逃げ出したかったけれども、ほむらと違って彼らは改変前の世界を認識できないから、やっぱり人間からの搾取を継続していく。でも別に奴隷ってほどでもないけどな。原発事故を起こした過去を忘れたから、性懲りも無く原子力発電を続けているだけで。
だからQBは今後も円環システムを解明しようとするだろうし、それを監視するほむらの存在にも気づくだろうし(エピローグを見るに、もう知ってるのか?)、まどか本体のない円環システムがちゃんと機能するのか、QBたちに乗っ取られずにいられるのかもわからない。

まあほむらとしてもまどかが天寿を全うできればあとは人類や宇宙がどうなろうと知ったこっちゃないだろうからな。そこまでQBが大人しくしてくれればいいが。

というわけで暫定的ハッピーエンドだけども、どうにもまやかし臭い、バッドエンドの予兆を孕む後味悪ーい仕上がり。

続編作り放題だな!

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