2016年5月24日火曜日

「軍艦『伊吹』の建造」1

友人が一昨年出版した著作を去年購入し、先日読み終わった。
作品自体の初出はコミケのC80?だったそうで、ぐぐったら2011年8月とのこと。
って、ちょっと待って。その友人は東日本大震災時、石巻の沿岸部にお勤めで、自宅から職場から新車から全部流されたと聞いたんだが。そのわずか5ヶ月後に著作物を出品ってこと?すごすぎる。

そういうわけで、5年前の作品に対して今さら感満載だけれども、感想を書く。
まずは簡潔に。



「風立ちぬ」の10倍面白い。(ジブリアニメの方。原作未読。)



作品の面白さを説明するのに他作品をsageるのはあまり品の良いものではないし、褒められた方も気分は良くないと思うんだけど、簡潔にしようとすると私はこういう言い方しかできんのだ、すまん。

なぜ「風立ちぬ」を引き合いに出したかというと。
「軍艦『伊吹』の建造」というタイトルがタイトルなので、軍艦に興味のない人はまず手に取らない作品なんだよね。たぶん。
私も読む前は、軍艦伊吹の建造に関する研究報告的なものかと思ってた。
だから2011年夏は彼のSNSにコミケや著作に関する日記がアップされていたはずだし、飲み会でも話題に上ったはずなのだが、全く記憶にない。関心がなかったから。すまん。

でも実際本作はまごうかたなき「小説」だった。
それも軍艦マニア向けのニッチな作品ではなく、「大衆小説」だった。

「風立ちぬ」は零戦とかよくわからん、戦争モノは暗いし怖いから苦手、という私でもすごく楽しめた。主人公らの職人魂・研究者魂に胸打たれたし、ユーミンの「ひこうき雲」にのせてエンドロールが始まったときには号泣したし、ジブリアニメの中でも最も好きな作品のひとつ。
しかし「軍艦『伊吹』の建造」はその上を行く。

たとえるなら、「風立ちぬ」の舞台を空から海に移し、カプローニと菜穂子をばっさりカットした上で、その尺を全て「仲間と議論しながら零戦を開発するシーン」に充てた感じ。

おもしろそうでしょ?おもしろいんだよ。
同級生の欲目ではなく、同人作品の「わりには」よくできているでもなく、本当におもしろかった。

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